「真理のみ」 (原題 「THE TRUTH IS」)
~SRI H.W.L.POONJA
崎山綾子翻訳
第10章 空家の盗人 ☆Part2-c
(サイト管理者より・・・・画面構成の都合上、章全体を複数ページに分割して掲載します。用語解説は各ページ末に収録)
第10章は全体が長大なので、小見出しごとに☆Part分割したファイルを更に、a,b,c...と細分割して掲載します。
前ページ(Part2-b)からの続き・・・・
マインド、思考、精神的重荷
Q:私からこの重荷をとって下さって本当に有り難うございます。
あなたの重荷をそばにおきなさい。余分な荷物は全て投げ捨てなさい。これを私は軍隊生活で学んだ。軍隊ではゆっくりと行動することはできない。さもないと死んでしまうからだ。
そして重荷はあなたをスローダウンさせる。時々、馬鹿げたことにまじめすぎる人を見るとマハルシが言われたことを思い出す。
汽車で旅をしているとき、
荷物を頭の上に乗せたままでいるか、それとも足元に置くか?
これが賢者と残りの宇宙との違いだ。
賢者は荷物を背負わないが、
ほとんど全ての人が荷物を背負って汽車に乗っている。
過ぎ去ったことやまだやって来ないこと、友達やお金の事を考えて心配している事が荷物を背負っていることだ。これが平和に生きているか、苦しんでいるかの違いだ。それはあなたの荷物がどこにあるかに掛かっている。
背負っている荷物が重いと感じたら、それを降ろしなさい。そして悟りに向かって歩いて行きなさい。何も背負わない事だ。これは何も考えないという意味だ。
これについて話をしてあげよう。
昔、非常に年若い弟子を持ったグルがいた。彼らは別の村に行く途中で小川を渡らなければならなかったが、雨のために水かさが首の深さまで増していた。荷物は頭の上に乗るぐらい小さかったので、二人とも川を渡ることが出来ると思った。
しかし、川の側に娼婦が一人立っているのを見た。彼女は結婚式に参加するために着飾っていたので川を渡ることが出来ない。それで、この聖人(グル)が彼女に言った。
「私があなたを肩に担いで他の岸まで渡してあげよう。」
彼女は喜んで同意した。岸に着いて彼女は彼女の道を、二人の出家者は彼らの道へと急いだ。
さて、弟子は非常に混乱して困っていた。彼のグルは女性には触るなといつも言っていたのに、娼婦を肩に乗せるとは!
1Km行った先で弟子は謙虚に尋ねた。
「マスター、質問があります。私はあなたの取った行動に当惑しています。あなたは、私達は僧侶だから、出家者だから、どんな女性も見たり触ったりしないようにと教えていますが、あなたはあの女性に触れました。」
「はい、はい。あの女性は川を渡りたかったから彼女を運んであげた。そして彼女を降ろして彼女は去って行った。今私達はそこから1Km歩いて来たのに、なぜあなたは今だに彼女を背負っているのかね? 私は彼女を10m背負った。しかしあなたは彼女を1Kmも背負って来た。なぜまだ彼女を憶えているのかね。それはもう終わったことだ。」
このようにあなたの前にやって来るものには状況に応じて対処し、後は忘れてしまうことだ。これが教訓だ。
やって来るものを避けないこと。不必要なものは招き入れないこと。あなたの出来る限り状況に対処しなさい。そして忘れてしまいなさい!!
Q:学んだことを全て捨てるのですか?
あなたのバッグに保持して来たものを全て捨てなさい。そしてバッグも捨てなさい。そうすると学ばなかったことがそれ自身でそれ自身に姿を現す。
バッグで思い出したが、20年前に私を訪ねて来たあるサニャーシンがいた。
彼は南部では非常に有名で17のアシュラムを持っていたが、明らかに彼は満足していなかった。彼は二台のバスで弟子達と一緒にバトリナートへ行く途中にハリドワールにやってきた。このスワミは80歳で私は60歳であった。私の友達から私のことを聞いて、私が彼の助けになるかも知れないと一人で私のホテルにやって来た。
やって来るや否や彼は私達が話をする必要のないものについて宣言した。彼が言うには、
「プンジャジ、私は私の全人生をヨーギとして過ごして来た。私の写真を新聞で見たかも知れないが、ヨーガのパワーを証明するために私は地下に生きたまま埋められ、食物、空気、水なしで40日間医者や科学者と実験した。私はただサマディーに入っていっただけで、何も大したことではない。だから私はヨーガを知っているのでこれについて話す必要はない。」
彼は続けて、
「また何十年間も私はヴェーダやウパニシャッド、マハーバラータ、ラーマヤーナ、ブラーフマスートラ、バクティスートラ、ヨーガスートラ、宗教の全ての本を勉強したので、これらのことについても話す必要はない。」
更に、
「タントラ、ヤントラ、マントラについても話す必要はない。そうプンジャジ、私はあなたの助けを求めてここにやって来た。これらの他に何か私に言う事はあるかね?」
私は言った、
「はい、あります、スワミジ。しかしまず最初に、あなたが今私の部屋に投げ込んだガラクタを、このガラクタのバッグをどうか外に持って行ってから部屋に入って来て下さい。そうしたら、私はあなたが言わなかったことについて話しましょう。」
彼は私を見て、私が言ったことが理解できないようで、私は繰り返して言った、
「スワミジ、私はあなたを助けたいが、それにはまずこのガラクタのバッグをドアの外に出してください。全てを外に置いてから戻って来て下さい。」
彼はゆっくりドアに向かって歩いて行ったが、そのとき、衝撃を受けて振り返った。
彼は私を見つめて、私は彼を見つめていた。そうして彼は部屋に入って来て私の足に触れようとした。
「スワミジ、あなたはサニャーシンで、学者で、私より20歳も年上だ。私にはあなたからの崇拝を受ける権利はありません。」
彼は返答した、
「初めて私は、悟りとは何かが分かった。私の学んだ全ての本や理解を後にしなければならないと分かった。そのとき、私は光を見つけた、私の真我を見つけた。私は今迄多くの人をだまし続けて来たのだ。今、私は私の弟子達に真理を話すことが出来る。もう一度あなたに会うためにいつやってきたらよいかね?」
「スワミジ、あなたはここに戻って来る必要はありません。」
と私は断言した。後で聞いたことだがこの傲慢なスワミジは完全に変身して幸福で、どこかに長期の隠遁生活に入ったということだ。
このように、あなたがもてなしてきた概念の全てを捨て去って自由でいなさい。これを今やりなさい、一瞬も延期しないこと。過去と未来の間に、あなたは誰か? 修業や瞑想は必要ない。
「ここ」に光が!この瞬間に死が入って来ることができるかね?
これがあなた自身の場所、あなた自身の住みか、「ここ」にいなさい。