「真理のみ」 (原題 「THE TRUTH IS」)

 

~SRI H.W.L.POONJA

崎山綾子翻訳

 

 

 

第10章 空家の盗人 ☆Part1

(サイト管理者より・・・・画面構成の都合上、章全体を複数ページに分割して掲載します。用語解説は各ページ末に収録)

☆Part2 ☆Part3☆Part4☆Part5

 

 

 

 

空家の盗人

 


 

いつも憶えていなさい
平和の盗人は、空家にやって来る盗人だ。
なぜなら、家にあるのは存在しない想念だけで盗人は何も盗めない。
あなたは盗まれることのない「それ」だ。

常に平和だけがある、
この平和を乱す想像上の妨害者を見つけて拒否しなさい。
「私―思考」が自由の盗人だ。
自問がその盗人とその習癖を破壊するための最良の方法だ。
習癖を気にすることはない。
それを取り除く唯一の方法は自由を手に入れることだ、
自問が自由への近道だ、
だからいつも真我に向かっていなさい。

 

 

 

欲望


 

 

  波が起こる以前は海だ、
 欲望が動きだす以前は無だ。
 全宇宙はあなた自身の欲望の顕われだ。
 だから、それを楽しみなさい。
 しかし、それによって破壊されないことだ。
 あなたは欲望の奴隷になりやすいのだから。

 

 平和の盗人は一時的なものへの欲望だ、
 だから唯一永遠なるものを切望しなさい。
 「ここ」、この永遠の瞬間には欲望はない。
 ただ静かにしてあなたが本当に必要なものを知りなさい。
 対象のないところには欲望はない、
 欲望のないところにはマインドがない、
 マインドがないところには唯一真我だけだ。
 欲望が「真理」の顔を覆い隠す膜だ。
 「私」の源泉を見つけて膜を取り除きなさい。

 

 あなたは存在の総体だ。
 欲望が単にあなたになることはない。
 どんな欲望も皇帝を乞食にする。
 欲望とは唯一請い求めることだ。
 「私は真我でない」というのが乞食だ。
 取るに足らない欲望のためにあなたの王国をなくし、あなたを破壊に導く。
 だから誰に欲望が起こっているのかと、ただ真我探求しなさい。
 そして、限界のない無の中に流れ込みなさい

 

 欲望の対象がないのが実在だ。
 欲望の対象がない状態があなたの平和に値する。
 あなたの家が欲望ならそれを燃やしてしまいなさい。
 あなたを幸福にするのは欲望のないときだけだ、
 だから、無欲でいなさい。
 欲望がないとき、愛と美がある。
 もし望むなら唯一平和を望みなさい、
 あなたが考えるものにあなたはなるのだから。
 海に注がれた水は海になる。

 

 どんな欲望もワニで、どんな執着もサメだ。
 欲望から自由であることが、神であることだ。
 究極であることだ。
 欲望との競争をただストップして見てごらん!
 ハートはいつも開いているのに、唯一欲望でそれを閉じるのだ。

 

 無欲が自由だ、
 だから、どこから欲望がわき起こるのか見てみなさい。
 欲望なしのあなたは平和で、この完璧な静寂さが自由だ。
 自由への欲望は他のあらゆる欲望を破壊する。
 この欲望が湧きあがったときは延期しないことだ。
 今満たしなさい。静かに座ってこの欲望に従いなさい。
 未来に自由になりたいと望まないこと。
 今自由になりたいと踠かないこと。
 この二つの間で何が見えるかな? 

 

 

 

Q:私であるこの無を愛し、本当の幸福を知るのを助けて下さいますか?


 

 幸福とはあなたが望んだものとの出会いからやって来るのではない、欲望を満たすことから来るのでもない。何に対しても全く欲望がないとき、幸福がそこにあるのだ。欲望が空(から)になったときのこの「空」が幸福そのものだ。

 だから、欲望に対する思考を全て捨てなさい。幸福がやって来るときあなたは一人だ。一人と幸福、この二つはとても仲良くする事が出来る。あなたには熟練したガイドが必要だ。さもないと世界という森で道に迷ってしまう。ガイドは必要でこのガイドが恩寵だ。

 

 

 

Q:私は多くの欲望をもった男で、欲望は私を煩わすのをやめたことがありません。


 

 欲望を満たしなさい、誰がそれを邪魔するのか? 頭の中の欲望はそれが位置している部分の脳を破壊する。しばらく待っていなさい、急ぐことはない。

 まず、あなたが好きなもの、愛しているものを愛し、マインドを満足させなさい。マインドが沈むと、どのようにして全てを拒否して静かに座るかが分かるだろう。


  あなたが真我探求への欲望を持っているなら、
  他の欲望があなたを困らせることはない。

 

 

 

Q:欲望には限りがありません。欲望の全てを破壊する必要があるのですか? それとも、欲望は真我探求や静寂によって通過させることができるのですか?


 

 欲望には限りがない。肉体が去っても生き残る。マインドはいつも欲望で忙しい。これらの欲望は満たされなければならない、さもないと、それらを満たすために再び生まれて来なくてはならないからだ。


  グルの恩寵と真我探求によって
  欲望は通過していくし、あるいは満たされる。


 欲望を一つ一つ取り除くには何億年もかかるし、それでもうまくいくことはない。グルの恩寵によって欲望は夢の中で満たされて、マインドは満足する。真我探求は欲望の源泉へ行くことだ。

 「ここ」にはマインドが全く存在しないので欲望がない。マインドが感覚の対象と接触しているとき、欲望が起こって来るのを加速する。源泉に行くことでこの世界はかつて存在したことがないと分かる。そして、欲望はいうまでもなく存在しない。そこが完全な解放の場所だ。


 私には私の前世である特定の女性と一緒になりたいという欲望があったが彼女と一緒になることはできなかった。理由は、私は偉大なスワミで私のマハーサマディの日は銀行や店が閉まった程有名人であったからだ。

 それでどうなったか? 私は再び生まれかわってこの女性を妻としなければならなかった。だから欲望は満たした方がよい。特に、自由でありたいという欲望は!!

 

 

 

Q:私もまた、悟りたいという欲望があります。


 

 この欲望にあなたを煩わせなさい。本当にこの欲望をもっているなら、欲望の全ては終わったと同じだ。この欲望は他の全ての欲望を解き放す。この欲望をあなたが死ぬまで持っていなさい、そうすると、覚醒に至る。

 あなたの持っている欲望の全ては表に現れ出なければならない。あなたが欲望するものはすべて満たされなければならない。

 

 

 

Q:私の欲望の全てを燃えつくすためには、悪い欲望ばかりでなく、全ての欲望をあなたの足元に差し出さねばならないというのは本当ですか?


 

 全てを燃やしてしまう火は何か知っているかね? 献身が火だ。グルへの愛だ。グルへの愛とはグルの足元に膝まづいてグルの足を崇拝することだ。そうすると何もする必要はない。これだけで充分だ。

 昔は多くの人がグルの足を崇拝することによってのみ悟りを得たものだ。それに関する多くの話があるがラーマヤナのバーラトの話をしよう。

 

 バーラトの母親(第三の王妃)は、彼女の息子のために王国が欲しかった。しかし彼には王国を世襲する長兄がいた。王はバーラトの母親に彼女の欲しいものは何でも与えると確約していた。彼女は非常に美しく、前の戦争のときには、彼女が壊れた戦車を持ち上げて王を助けて戦争に勝ったからだ。

 王が王国を年上の息子ラーマに譲り渡そうとしたとき、バーラトの母親は王に、王との約束を思い出させた。そして彼女は王を強制して、ラーマを14年間王国から追放させ、彼女の息子を王位につけさせた。

 バーラトはそのときカシミールにいたが、何が起こったか知らされて王国に戻ってきた。彼は王国は一番年上の兄のものだと宣言して王位を拒否した。そしてラーマを探しに出かけ、チタラクットで彼を見つけた。ラーマに王国に戻るように頼んだ。

 ラーマは答えて「それはできない。私は私達の父上がした約束を果たさねばならない。あなたは王国に戻って私がいない間国を治めなさい。」

 バーラトは言った、「それではあなたの木のサンダルを下さい。私はそれを王座において毎日礼拝したい」


 この少年バーラトの献身は他の誰とも比べものにならない。彼は唯一サンダルを崇拝して悟りを得た。

 

 瞑想だけでは十分でない。なぜなら鶴でさえ魚を捕まえるのに魚が充分近くに来るまで待って瞑想している。鶴は魚を欺くために片足で立っている。それは苦行だ。魚は欲望の対象にすぎない。

 このように人々は欲望の対象のために苦行や修業や瞑想をしているにすぎない。これらの全てを止めなさい。鶴にならないことだ。神の御足を崇拝するだけで十分だ。献身・神への愛だけで充分だ。


 サットグルの足を洗うとどんなに幸福になるか。サットグルは彼の足を洗ってほしくはないが、あなたのためにそれを許しているのだ。そうして、あなたは謙虚になる。グルの足を見つめなさい。これだけで充分だ。

 これが失敗のない方法だ。他の全ての方法は失敗する。瞑想はあなたが必要な何かのためになされるが、グルの足を崇拝することは全てを取り除くことだ。グルの足を見つめなさい。

 

 

 

 

次ページ(Part2-a)に続く

 

 

 

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