「インドのツーリスト・ヴィザ」個人申請のガイダンス その5
個人申請することの「意義」とは?
サイト管理人は1990年以降ほぼ毎年インドに渡航しておりますが、毎回のことながらこの「インドヴィザ申請」は、大変厄介で面倒で労力を費やさざるを得ない作業だよなあ・・・というのが実感です。
インドのヴィザ事情・・・もうちょっとどうにかならんかな?
と申請の度に思うのですが、それでもよく考えると「申請作業が大変面倒」なだけであって、特に勝負?は「受理されるかどうか?」の部分であり、「受理され」てしまえばまあ9割5分方「発給」されるわけで、
「6か月」有効のヴィザを、国内申請ならわずか1400円で発給してくれる。
・・・というのは、他の国々の実状と比較した場合には「かなりの好待遇」なのです(日本はインドから最恵国待遇を受けている・・「対中国」連携で両国の思惑が一致しているのが大きいのですが)。
さて実際問題として「旅行代理店」に「申請代行」を依頼すれば、その
「厄介で面倒」な作業に悩まされることはなく、とりわけ遠方に居住されている方や仕事が忙しくて申請作業&直接窓口まで出かける暇がない場合には、少々料金が割高になるとしてもコストパフォーマンスとしては大いに意義があります。
では逆に、その「厄介で面倒な」個人申請をする・・ということには、果たしてどれだけの意義があるのでしょうか?
もちろん窓口での申請ならそれ自体の料金はわずか1400円である・・わけで、
「さほど交通費がかからない地域に住んでいる&平日午前中に動ける時間的自由がある」
場合には、窓口に直接申請する方が「旅の予算」節約になるわけですが、
むしろそれよりも「個人申請」をすることで、いわゆる「インド的不合理」との対峙を体験する?ことになり、それこそがインドへの旅にあたっての「なかなか有効なトレーニング」になる・・・という点が「最大の意義」でありましょう(笑)。
インドへの旅にあっては(特に初めての場合)多かれ少なかれ「様々なカルチャーショックの洗礼」を受けることになりますが、日本での日常生活では当たり前のように進行する「ちょっとした事務処理」が、全然こちらの予定や思惑通りにいかなくてストレスがたまる・・lということがあります。
例えばインドの「お役所」だけでなく、郵便局とか銀行とか鉄道駅やバスステーションの受付カウンターなど・・に、日本のそれと同じ感覚でアプローチすると、思ってもみないところでクレームが付いたりして通用せず「やり直し」になったりする・・・ことが多々あります。
先進諸国的な「作業効率」を重んじていない側面もあり、日本でなら10分もかからないことが小一時間かかる・・というのもごく普通な話ですし
、電話に出た人が「適当なこと」を言ってそれを信じたら「窓口では却下」されるとか。
日本のように「上で決まった法令が末端まで完全に浸透している」というわけではない?・・ので、どの担当者に当たるか自体どこか運命次第なところもあり、それ故に情報が錯綜して「どれが真実で、誰を信じたらよいか?」が分からなくなったりもします(笑)。
そしてインド大使館・総領事館とはまさしく「インドのお役所」なのですから、その仕事ぶりもやはり「インド的・インドスタイル」が基本にあるわけで、そこに個人申請するということは必然的に、
ころころレギュレーションが変わる&それが不徹底かつ説明が不親切、その上作業が非効率・・という、「インド的不合理」との戦いになったりするわけです(笑)。
例えば夏休み・春休み前などは大学生・専門学生たちの申請者が激増するのに作業がはなはだ非効率なため、「只今の待ち人数は100余名」なんて表示が出て、ただひたすら「忍の一字」で待つ・・・なんてこともあり、しかも待った挙句に「不首尾で突っ返される」たりしたら怒り心頭。
・・・・そんなこんなでまことに腹立たしくストレスが溜まったりするのですが、インド入国前の段階でこの「インド的不合理」の洗礼を受けておくと、現地に行ってからあれこれの局面で遭遇する事柄への「心構え」という免疫?が出来る・・・わけですね。
もちろん全ての申請者がこのような面倒な体験をするわけではありません・・細心の注意で申請書を完璧に完成させ、写真などの提出書類も完備した上で申請すれば「あっけなく一発で受理」されるわけですから。
つまりその「細心の注意で申請書を完璧に完成させ、写真などの提出書類も完備」する・・・というところに結構なエネルギーを要したりするわけです。
もっとも「インド的不合理」がこちらにとって都合のいい方・悪い方どちらにでるか?・・・なのであって、時にはその「いい加減さ」のおかげでむしろ物事がスムーズに行くケースもあるわけですから(笑)。
そしてある意味でこの「インドヴィザ個人申請」というのは、旅に出る前の最大の儀式・通過儀礼?みたいなもの・・かもしれません。
とりわけアルナーチャラ・ラマナアシュラムへの訪問・滞在ということに関しては、「全てお任せ」のツアーの実施機会が乏しいため基本的には「個人手配旅行」がメインとなります。
エアチケットを手配し、アシュラムに連絡して滞在許可を頂き、そしてインドヴィザの申請・発給・・・というステップをこなしていくわけですが、初めての方の場合は「これまでの日本での日常生活」では体験したことのない「未知の事柄」への挑戦・・でもあるわけで、
これらは見方を変えれば(大げさに言えば)、「慣れ親しんだ『日常』というエゴの枠組み」を越える「修行的営為の一環」ともいえる・・のではないでしょうか?
多分に牽強付会的な・おかしな例えですが、
「アルナーチャラ巡回行」であるギリプラダクシナにおいて、残り4分の1辺りまで来た時点で「喧噪雑然・阿鼻叫喚のカオスたる繁華街のまっただ中を通過する」・・という最大の難所に差し掛かるわけですが→
ギリプラダクシナを完結するには、嫌でもこの難所を「淡々と歩いて通過する」・・というプロセスを避けるわけにはいきません。
サイト内で機会あるごとに強調しておりますが、「アルナーチャラへ行く」・・というのは、決して「物見遊山的観光旅行」ではありません。
それは「巡礼の旅」なのですから、この厄介で大変なインドヴィザの「個人申請」という営為もまた、「巡礼」につきものである「狭隘あるいは荒涼たる難路を淡々と注意深く歩いていく」プロセスそのもの・・・・
であるのだとしたら、それ自体が「個人申請」することの最大級の意義である・・と言えるのではないか?
・・・以上がサイト管理人の個人的見解です。
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