「アルナーチャラ・ラマナ 愛と明け渡し」

 

 

 

 

 

 

「おおラマナ、あなたとは一体誰なのですか?」
「私はすべての生きとし生けるもののハートに宿るアルナーチャラ・ラマナである」
「アルナーチャラの中にとどまりなさい。ハートの中にとどまりなさい」

 

 

 

 

日本で発刊されたラマナ関連書籍としてはこれがちょうど10冊目なのであるが、「日本独自のオリジナル編集」というのが最大の特色であろう・・・つまりタミル語なり英語版のラマナアシュラム発行の「完成された原作書籍」を日本語翻訳版として刊行したものではないのである。(逆にこの書籍の『英語版』も刊行された。)

 

基本的には「写真集」であるのだが、その内容は極めて濃密でありかなりの分量がある・・・関係者から聞き及ぶところでは、企画段階にあっては「2冊に分ける」という選択肢もあったらしい。実際内容的には2部構成となっていて、それぞれを1冊としてまとめても十分に書籍としての体裁を保持できる位のレベルだろうと思われるが、結果的に1冊にまとめられて幸いだったのではないか?・・というのが感想である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1部はお馴染み福間巌氏のセレクトによる「愛と明け渡し」をテーマにしたラマナの数々のお言葉が、アシュラム・アーカイブからの提供によるラマナ&アルナーチャラのお写真(モノクロ)とカップリングされている。

福間氏はアシュラム・アーカイブから多くの古い写真を選び出し、それをリタッチした。その中にはオリジナルのスライドが傷だらけだったため、一度も出版物として人の眼に触れられていない希少価値の写真も数多くある。

 

 

 

 

 

 

 

そして第2部は現代の写真家(複数)によるアルナーチャラの素晴らしい写真(カラー)と、それらにラマナが自ら直接書かれた作品の中の代表的主要文献である「アルナーチャラに捧げる5つの賛歌」の邦訳がカップリングされている。

 

 

とりわけ「アルナーチャラに捧げる5つの賛歌」の邦訳文掲載というのは、今回の企画の中でも特筆に値する快挙であろう!!

 

 

ラマナ関連書籍というのは大別すると3つのカテゴリーに分類できるのだが、その中でも「ラマナご自身が直接お書きになった」作品群というものがあって、それらは当然ながら信奉者にとっては「最も重要な書物」である。

 

 

これらは「The Collected Works of Ramana Maharshi」という書籍として刊行されていて、その日本語翻訳は故・柳田侃先生(元日本ラマナ協会会長・甲南大学名誉教授)の最初の翻訳本「ラマナ・マハルシの言葉」として結実し、96年に東方出版から発刊された。

 

・・のであるが、当該書籍が現在絶版のため誠に残念ながらなかなか日の目を見ることが出来ない状況なのである(古本としてはこの書籍も「べらぼうなお値段」が付いている)。

 

それらの作品の中でも最も重要であるのが、ラマナがアルナーチャラへの熱烈なるバクティの心情をタミル語の韻文で書き綴った一群の作品である「アルナーチャラに捧げる5つの賛歌」であり、それらが福間氏の新訳によってあらためて紹介されたことは、信奉者にとってはこの上ない喜びとなるであろう。

 

2014年はその「アルナーチャラに捧げる5つの賛歌」のなかでも最も代表的な「アクシャラ・マナ・マーライ」邦訳名「文字の結婚花輪」が成立して100周年、またかってこれらの邦訳を先駆的に紹介された柳田先生の10回忌というメモリアル・イヤーだっただけに、年内中にこの書籍が刊行されたことは誠に御慶である。

 

 

今回の「アルナーチャラ・ラマナ 愛と明け渡し」の中ではこれらの作品に関する解説は載せられていない・・のがいささか残念ではあるが、本書はそれだけのスペースは到底望めないほどの全体ボリュームであるだけに(「写真集に「解説文」というのも野暮であるし・・笑)、それらはまた別の機会を待つこととしたい。

 

そして同時に、これまでの「日本におけるラマナ・マハルシの紹介の歴史」にあってはアドヴァイタ(不二一元論)としての「ジュニャーナ」の教えが先行してきたために、ややもすれば浸透が不十分のきらいがあった「『バクティ』に関するラマナの教え」についてを、今回の企画は全編を通じて中心テーマとして全面的に展開しているものでもある。(それだけに分冊せずに「1冊にまとまった」ことは快挙として喜びたい)

とりわけ「ラマナ=アルナーチャラ」である・・・ということ、また「ギリプラダクシナ」への言及もあって、このような内容はこれまであまり積極的に紹介されて来なかった状況であっただけに、大変喜ばしいものである。↓

 

http://thetruthis.g2.xrea.com/bagavan-holder/bagavan01-pt.htm

 

 

ラマナ在世中のお写真だけでなく現代のアルナーチャラの写真との併用によって、入滅後64年を経過した現在にあっても、

 

「ラマナ=アルナーチャラ」としてサットグルとして臨在されているのだ!!

 

・・・ということが素直に伝わってくる傑出した内容である・・と最大級に評価したい。

 

 

これだけの重要な意義のある内容が、濃密に凝縮され1冊にまとまった(その体裁に相応しい紙質や、見開きページを見やすくするための綴じ方など各所に丁寧な配慮が行き届いている)上に、出版社の英断による「2200円(税別)」という(写真集としてはかなり安価な)価格設定に感謝!!

 

 

 

 

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