「真理のみ」 (原題 「THE TRUTH IS」)
〜SRI H.W.L.POONJA
崎山綾子翻訳
第7章 バクティ:神への愛 ☆Part3
(サイト管理者より・・・・画面構成の都合上、章全体を複数ページに分割して掲載します。用語解説は各ページ末に収録)
前ページ(Part2)からの続き・・・
明け渡し
明け渡しなさい。沈黙にあなたを明け渡しなさい。
源泉に明け渡しなさい。気づきに明け渡しなさい。
これが唯一の守られた場所だ。
ハートに明け渡すと、すべてを知るだろう。
意識と至福に明け渡しなさい。
明け渡しとは、あなたの束縛を明け渡して単に自由になることだ。
明け渡しとは、エゴが源泉に頭を下げることだ。
もはや要求や命令することはない。
すべてを源泉の手の中にゆだねることだ。
意識と至福に服従して、あなたは幸福になる。
感覚への中毒を明け渡しなさい。
それらを止める必要はないが、
完全なコントロールの元に置く必要がある。
エゴは5つの馬(5つの感覚)の下手な卸者だから、
感覚の手綱をアートマンに明け渡しなさい。
河が海に明け渡すように、
あなた自身を真我に、源泉に明け渡しなさい。
そして海の表面でまだ泳いでいると知ったなら、泳ぐのをやめなさい。
そうすると、愛の深さに沈んで行く。
愛:神に明け渡して、静かにしていること。
知恵:神を求めて、静かにしていること。
Q:明け渡しについて話されていますか。私にはそれが何か分かりません。
明け渡さなければならないものは一つだけある。
明け渡しとは「これをあなたに手渡します。これでこれは私のものではない」という意味だ。私があなたにりんごをあげる。あなたはそれを食べる。私がそれを返してくれと言っても、あなたはそれを返すことはできない。このようにエゴ、「私は肉体」という概念を明け渡さねばならない。
そうすると、あなたは神そのものだ。エゴを明け渡しなさい。もしあなたがそれをしたいのなら、私の手の中にそれを置きなさい。そうすると、あなたの生涯を通して死後の後もあなたは幸福だと私は確約する。
明け渡しとは、あなたの愚かさ・邪悪さを神の意志に服従させることだ。それがすべてだ。河が海に流れ込んで行くようなものだ。これを明け渡しというのだ。河が海に流れ込んで行くと何になるかね?
Q:海。
そうだ。その時、海の中では河は見ることができない。河が海に触れたとたんそれは海になる。このようにあなた自身の真我に明け渡して、他のすべての事は忘れなさい。エゴ、マインドをあなたの真我に明け渡しなさい。
今、やりなさい!ただ聞いているだけではだめだ。明け渡しとは、起こることは何でも起こらせるということだ。あなた自身の利益の為に率先しないことだ。これが神の意志への明け渡しだ。
Q:しかし…
「しかし」は疑いで、これはマインドの災いの元だ。明け渡しではない。「神よ、私は私の個性、私の性格、私のエゴをあなたに手渡します」これが明け渡しと呼ばれるものだ。
これはあなたが決める事だ。私は強制しない。ほんの少数の人が明け渡すことができる。ほんの少数の人がこれをやり遂げた。
Q:最近 どのようにして生き延びるかという問題が恐れと共に起こって来ています。私は何も隠しません。私はすべてをあなたの足元に差し出します。私はすべてをあなに手渡します。
明け渡しは言葉でできるものではない、現実にやらねばならない。河が海に明け渡すにように、その実体を失いすべての限界性をなくす。恋する人が恋人、海に出会うとき、すべてが絶対的に変化する。単に言葉でなく実際にやりなさい。
Q:目覚めて「私」の源泉を発見したい、というのが私の唯一の望みです。未来の計画も野心もありません。どうか、どのようにして明け渡しするのか教えてください。
未来の計画や野心がないとき、その時あなたはどこにいるかね? 何の計画もないと言うことは非常に簡単だ。しかし、これをよく理解しなければならない。
あなたが本当に計画がないとき、死ぬ計画もないとき、あなたは「私」の源泉にいる。だからあなたへの返答は、あなたの要望の中にすでにある。何の計画もない時は、あなたはすでに目覚めている。そしてこの質問をすることはないだろう。
ラクナウにやって来て、この質問を私にするのも計画だ。だから計画がない時、あなたは源泉にいる。単に静かにして、努力をしないこと、計画をたてないこと、野心を持たないこと。そうするとあなたは、仏陀のように悟りを得るのだ。
最初、仏陀は多くの計画があったが何もうまくいかず、すべての計画を捨てて菩提樹の木の下に座った。そして、覚醒!
彼はただ静かに座っただけだ。このようにあなたもすることができる。難しくはない。一瞬でよい、「ここ」にただ居なさい。
Q:私は恐れています。どうしたら恐れに打勝つことができますか。
あなた自身を愛することによって、恐れに打勝ちなさい。あなたの「真我」を愛するときには恐れはない。これが必要なときあなたを助けてくれる唯一の友人だ。いつでも、どこでも、あなたの「真我」があなたを助けてくれる。他の誰でもない。
暗闇がやって来ると、全宇宙で誰もあなたを助けることはできない。「暗闇の時代はあなたの影でさえあなたから去ってしまう。」と言われている。恐ろしい暗闇の中であなたは独りだ。
だから、光そのものである何かを見つけなければならない。太陽に向かうとき、影は、暗闇は、あなたの後だ。しかし、光に背を向けると影はあなたの前にある!
Q:なぜ私は安全ではないのでしょうか。
(くすくす笑いながら)それ自体で安定していないものに依存しているので幸福でいられないのだ。
昔、森の中である男が座って長期間の瞑想をしていた。ある日彼は、彼の側に生えている蔓が、彼の身体に巻きつかずに小さな木に巻きついて育っているのに気がついて考えた。
「このただの蔦でさえ私を信頼していない。蔦は私は動く可能性があり、木は動かないということを知っていて、木を信頼している。私が立ちあがったら蔦は切れてしまう。木は動き回らないし、一ヶ所に滞まっているこの小さな木に巻きつくほど、蔦には分別がある。」と。
世界中で、誰もこの蔦のように賢明な人はいない。人々は行ってしまうものを信頼している。肉体や生命はいずれなくなってしまう。蔦から学ぶべきだ。
永遠に続くものに依存しなさい。そうするとあなたは安全だ。安全でないのは、何か不安定なもの、何か死んでしまうもの、逃げ出してしまうものに依存しているということだ。そのようなものや人に依存しないことだ。
安全でありたいのなら、内なる永遠の幸福を手に入れなさい。いつも自由だけを切望しなさい。そうすると、あなたはいつも光の中にいる。
Q:私は、グルの恩寵に明け渡さなければならないと知っています。あなたに明け渡すとはどういう意味ですか。
明け渡しとは、あなたのマインドをハートに明け渡さなければならないという意味だ。そうするとエゴが去って行く。明け渡しとは河が海に出会うとき、河がすることだ。その時もはや河はなく河は終わりだ。
このように、グルの恩寵に明け渡して静かにしていなさい。そして何が起こるのか見ていなさい! それがあなたに言えるすべてだ。グルに明け渡しなさい。河が海に明け渡して、すべての自己証明をなくしてしまうように。海の中に河がないように、恩寵に明け渡したならあなたの個性はなくなる。
グルの所にやって来る正式で伝統的なやり方は、ガンガー(ガンジス河)の水を持ってグルのところに行き、三度宣言する:
「私は、私のマインドをあなたに差し出します。」
「私は、私のマインドをあなたに差し出します。」
「私は、私のマインドをあなたに差し出します。」
そしてグルのまわりを三度まわる。これでグルと弟子との関係が確立されるのだ。これが私が言えるすべてだ!
Q:個人的意志を神の意志に明け渡す方法を教えて下さいますか。
明け渡しとはエゴを真我に明け渡すことだ。お金や持ち物を手渡すことは明け渡しではない、それはとにかくあなたに属するものではないのだから。しかしエゴを手渡すならすべてを手渡すのと同じだ。
昔インドに立派で寛大な王がいた。彼は年老いて、領国を息子に譲って悟りに焦点を当てたかった。
ヒマラヤに行って修業するには年を取り過ぎていたので、彼はインド中から5000人の聖者や賢人を彼の宮殿に招待した。 王はみんなの前で宣言した。
「片足を馬の鐙にいれて、もう一方の足を他の鐙に入れるまでに、私に悟りを与えてくれる人がいたなら、私はその人に領国の半分と角に金貨をつけた31000頭の牛を差し出そう。」
聖人達は考えた、
「この王は何と愚かな男だ。私達はこの白髪の髭がこんなに長く伸びる位、悟りに到る為の修業をしているのに、フィンガースナップの一瞬に悟りを得ると期待しているとは。我々でさえ、悟りからまだ遠くいるのに。」
その時、気違いではないかと思える男が入って来た。彼は裸で身体は捻れていた。すべての賢人や聖人は彼を嘲笑して彼に立ち去るように言った。
「愚かな者達よ、何を笑っているのかね?」と片輪の男は言った。「お前達は、私の皮膚や骨だけしか見ることができない皮商人や肉屋の集まりにすぎない。」
そして王に言った。
「私はあなたが馬に乗る間に悟りをあげよう。しかしこれは、グルと弟子の間に起こるべきことだ。しかし、私はあなたのグルではないし、あなたは私の弟子でもない。知識は唯一、グルから授けものとして弟子に与えられるものだ。だからあなたは、私の弟子にならなければならない。あなたが私の弟子であると証明できる贈り物を私に与えねばならない。」
「よろしい。」と王は言った。
「私は角に金貨のついた31000頭の牛をあげよう。そして領国の半分をあげよう。」
「王様、牛や金貨や領国はあなたのものではない。あなたの前は誰が持っていたのかね?」
「私の父だ」
「あなたの父の前は?」
「私の祖父だ」と王は答えた。
「今度は、それらをあなたの息子に与えるだろう。あなたはそれらの管理人にしかすぎない。それはすべて公に属するのだ。あなただけに属するものを差し出しなさい」
そこで王は考えて言った、「私の肉体をあげよう」
気違い男は言った、「あなたは何人妻を持っているのかね?」
「4人だ」と王は答えた。
「それではあなたの肉体の1/4ずつは、四人のクイーンに属している。あなたの肉体は王として公衆に、夫としてクイーンに、父として息子にすでに与えられた。あなたの肉体はあなたのものではない。あなただけに属するものを差し出しなさい。」
王は賢明で、彼が持っているもので、この男に差し出さねばならない唯一のものがあると彼は悟った。
「私のマインドをあげよう」
「よろしい!!」と男は言って「ここにガンガーの水がある。今あなたは私に、あなたのマインドを与えたと、三度言いなさい。」
誓いは立てられて、王は片足を鞍の鐙に入れた。その時、その男は集会場から立ち去ってしまった。
すべての人が笑い出して、王は何をすべきか分からなかった。
しかし、彼は自分は自由ではないということは知っていた。突然、彼はこの思考、「私は自由でない」がマインドにあると気がついた。
彼は彼のマインドを気違い男に差し出した。王はこの誓いを破っているのだと悟った。この誓いを守ると、彼は考えることはできない!
この瞬間に気違い男は戻って来て王に言った。
「あなたは何がほしいのかね? もう一方の足はどうしたのかね? 鐙に入れたらどうかね?」
王はトランス状態で話すことができなかった。彼は終わりだ。彼は悟った。この王がジャナカ王で、男は賢者アスタバクラだ。
このようにあなたはやるべきだ。あなたのマインド、エゴ、思考を「至高の力」に明け渡しなさい。そうすると「それ」があなたの面倒を見てくれる。
その後この王は、王として在位し続けたが、王としての彼の任務を遂行している「それ」に完全に明け渡した。