「ラマナ・マハルシの言葉」
「聖者が語りかける霊的真理」「人それ自身の実在の真理に向けられた類希なる経典」

ラマナ・マハルシ著 アーサー・オズボーン編 柳田侃訳
東方出版 96年7月16日刊行 当時の定価 税込1800円 現在絶版
原本 「The collected Works of Ramana Maharshi(第5版)」の第1部Original Works の全訳。
日本ラマナ協会会長であった故・柳田侃先生(甲南大学名誉教授・経済学博士、04年8月逝去)が手がけられた最初の翻訳作品である。
文字通りラマナご自身が「直接書かれた作品」群をまとめた全集で、唯一のカテゴリー1に属する書籍であり、ラマナ信奉者にとっては最重要な聖典と位置づけられよう。
これら原作品のほとんどはタミル語で書かれた詩(韻文)であるのだが、タミル語からの直訳というのはかなり困難な事情があり、翻訳に当たっては柳田先生も英語版テキストに拠っている。
この書籍の最大の魅力はいうまでもなくラマナご自身が書かれた文章が収録されている点であるが、とりわけ彼が「アルナーチャラへの熱烈なバクティ」を歌った数々の詩歌が初めて日本語で紹介されたことであろう。
以下「柳田文献」より抜粋引用すれば・・・
1980年代の日本語によるラマナ情報は、いわゆる「精神世界」に関心を持つ人びとに深い感銘を与えてきましたが、そこには重要な欠落部分と不十分さが残されていました。
第1に、ラマナ・マハルシの著作の大部分はタミル語の詩ですが、その中で重要な意味をもつ「アルナーチャラへの賛歌」がまったく紹介されなかったことです。
それは原典のタミル語の理解の困難さにも起因していますが、このことは、ラマナの真我探求の教えをもっぱら「知識の道」と捉え、それが「愛と献身の道」を含むことを軽視させることにもなりました。
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この点を危惧された柳田先生がこれらの問題状況に対処するため、最初の翻訳作業としてこの書籍を選ばれたことは必然的経緯であったといえる。
とにかくカテゴリー1唯一の書籍である!!・・・ということ自体が大変画期的なものであり他に代えられない価値があるのだが、
先駆的な仕事であるだけに同時にいくつかの短所も抱えている。
柳田先生ご自身が「訳者まえがき」にも書かれているが、
「翻訳は多少読みづらさが残ってもできるだけ原文に忠実であるよう心掛けた」
文章であり、それはおそらく「学者の良心」としての「テキストに対する厳正・厳密な態度」が反映されたものであるのだが、
それ故に例えば、強調を示す「・」記号や訳注などが本文中に頻繁に付随しているため、視覚的にも大変煩わしく読み難さを誘発してしまうきらいもあるし、翻訳である以上仕方ないのだが「韻文」としての「リズム」が失われぎくしゃくした印象が否めない。
(かってサイト管理人は図々しくも「先生、これじゃあ一緒に歌えないですよ!(アシュラムでは現在もこれら作品を毎晩皆で歌う時間がある)」と冗談で訴えたことがある・・先生は「そりゃしょうがないですよ」と苦笑されていた)
そしてこの書籍の出版作業が、先生がアルナーチャラに長期定住されていた期間(94~96年)に進行したという事情があり、当時はまだインターネットもEメールも無い時代故に、出版社とのやりとりに精密さ・迅速さが確保できない状況下であったため、
初版においてはおびただしい数の誤記・誤植が生じてしまう事態にもなった・・・以下は先生の手書きによる正誤表であるが、果たしてこれら指摘事項が増刷版以降しっかり反映しているか?については、サイト管理人自身は残念ながら確認できていない。
そして最大の問題はこの書籍が現在絶版状態にあり、なかなか日の目を見る機会がない!!・・・・ということであろう。(古本も「べらぼうなお値段」が付いているケースが多い)
もっともラマナ関連書籍で絶版状況にあるのはこの書籍だけでなく計4冊もあるわけだが、重要度から言えばこの書籍がもっとも再販されてしかるべきである(繰り返すが、唯一の「第1カテゴリー」なのだから)。
ラマナご自身によるタミル語韻文作品である「アルナーチャラに捧げる5つの賛歌」が福間氏の新訳によってあらためて紹介されたことは、信奉者にとってはこの上ない喜びとなった!!
(またその他の収録文献もその後出版された書籍に分散して翻訳掲載されているものもある)→
いつの日かカテゴリー1の他の作品群も、同様に「福間氏による新訳」を大いに期待したいものであるが、
それと同時に一信奉者として、やはりこの「ラマナ・マハルシの言葉」それ自体の復刻版を望みたい!!
・・・版権などややこしい事情が絡んでいることは承知しているが、ラマナの教えは
「一切の秘密が無く万人に公開され、関心のある者は誰でも容易にアクセス可能」であること。
というのが御神意に叶う本来「在るべき姿」ではなかろうか?・・というのがサイト管理人の個人的所信であるが故に、
関係者の皆様にあっては、「小異を捨てて大同につく」大義による英断の実現を切に希望する次第である。
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