「真理のみ」 (原題 「THE TRUTH IS」)

 

~SRI H.W.L.POONJA

崎山綾子翻訳

 

 

 

第12章 巧みに世界で生きること ☆Part2

(サイト管理者より・・・・画面構成の都合上、章全体を複数ページに分割して掲載します。用語解説は各ページ末に収録)

☆Part1 ☆Part3

 

 

 

前ページ(Part1)からの続き・・・・

 

巧みさの精髄

 

 

Q:どのようにして、世界で生きたらよいのでしょうか?
     

 

  「それ」の体験を保っているなら、どんな状況の中でも生きて行くことができる。あなたは最後の欲望を満たしたのだから、どのようにして意識や気づきから離れずに欲望と一緒にいることができるのか言ってごらん? 簡単だ、あなたを騒がせるものに触れないことだ。いつも目覚めていて、各個人の意識としての真我にいつも戻って行くことだ。

  この体験をしたならこれについて話す必要はないが、単に「ある」ことで、他の人達を助けることが出来る。「それ」から発散される光は他の人に恩恵を与える。光輝いている美しさで人を引き付ける沈黙のバラの花のように。永遠の愛が人々を引き付ける香水だ。試してごらん、人々はあなたに引き付けられるだろう。
     


 

Q:この夢の中では、他の教師達が言うように、愛、親切、寛大さを持って行動した方がよいでしょうか?それともどのように行動するかは問題ではないのですか?
     

  教師からの提案はあるだろうが、真に無を経験した人々には教えも提案もない。

 何かに成るという考えを取り除きなさい。あなたは「ある」ことだ。「成る」ことは努力、「ある」ことは無努力。あなたはいつも「それ」、そよ風のようにありなさい。庭にもゴミため場にも関係なく吹いて行く。

 

 

Q:どのようにしたら、足跡を残さずに去って行く鳥のようになれるでしょうか?
     

 あなたがいつもサットサンガにいるのなら、過去の執着に目を向けることはなく、足跡も残ることはない。執着から自由になると足跡は残らない。これは非常に簡単だ。無執着が幸福を与えるのだ。執着はあなたを箱に閉じこめて、欲望がそれを運んで行くのだ。


  どんな執着にも従わないことだ、
  執着を与える同伴者を切り捨てなさい、
  自由を求める自由な人々と一緒にいなさい。

  自由を考えなさい。自由の中を歩きなさい、
  自由を熱望する人々と一緒にいなさい。
  これが唯一の足跡を残さない方法だ。

 

 

Q:どのようにしたら愛することがもっと自然になるでしょうか?
     

 愛することは自然だ。憎むことが不自然だ。愛が自然に「なる」ことはない。愛が自然な状態だからだ。不自然な状態はあなたを苛立たせる人を憎むことだ。この不自然な状態は今世で大変な問題を引き起こすものだ。 
 そして、この問題を解決しなければ来生が何度もやってくる。過去世であなたを卑下した人々への憎しみを許してくださいと懇願することでこれから自由になりなさい。愛、誰がいらないと言うかね?


  全ての人を愛しなさい、愛は神なのだから、
  全ての人を愛したなら、あなたは神になる
  
  神は神の創造物を決して傷つけることはない。
  これが違いを作る。

  愛は自然だ、
  マインドを説得して、全てを愛しなさい、
  さもないとそれは愛ではない。
  マインドにこのように教えなさい。
  そうするとこのマジックの結果を毎日見ることができる。

  他の人びとがあなたの近くにやって来る。
  これはこのマジックの結果だ。これらの人々を傷つけてはいけない。

 

 

Q:愛する人に対する愛情はマインドが創り出したものですか?
     

 「他人」に対する愛はマインドの戯れだ。真我に対する愛はマインドの作り事ではない。誰か他の人を愛するというのはマインドの戯れだ。それは良い経験を与えてくれることはない。唯一真我だけを愛することができる。あなたの真我を愛すると、マインドは破壊される。マインドで真我を愛することはできない。

 

 

Q:数年前、私には夫がいて、子供がいて、家を持ち、仕事を持っていました。しかし子供が死んで、夫は私から去って行き、それでわたしは仕事を止めました。
     

 これが私が言っていることだ。あなたの夫はこの種の「愛」に巻き込まれた。これが愛と愛欲の違いだ。

 全てを失くすというのは良い兆候だ。さもないとあなたはここにやって来なかっただろう。自由の為には全てを失くすことができる。あなたの場合、それが起こるように定められていたのだ。それを変えることはできなかった。変えることはできないのだから、考える必要も心配する必要もない。

 結局、関係性からどんな利益を得ることができるのかね? どれ位長くそこから利益を得ることができたか? あなたに囀っていた雀も飛び去って行く時は何と早く離れて行くことか? 

 これは起こるべきことで、明日起こることなら今日それを理解しなさい。そうするとあなたは幸福だ。さもないと、ここにいて楽しむゲームを見逃すことになる。だからそれらがやって来るがままに受け取り、この機会に感謝し、幸福でいなさい。

 

 

Q:時々、私は自分の仕事を完全に捨てて、真剣に探求者にならねばならないと感じています。
     

 これは必要ではない。真の探求者であることは家族を捨て、家を捨て、国を捨てヒマラヤの洞窟に行かねばならないということではない。そこでは何も起こらないだろう。

 自由を与えるのは洞窟ではない。それはあなたの熱望だ!「今生で自由になるのだ」という熱望だけで充分だ。この熱望を燃やし続けることだ。仕事をしている時もしていない時も。これが最後に報酬を与えるのだ。

 例えば、誰かが歯痛を抱えているようなものだ。海辺に行く友達に会って誘われても、「私は歯医者に行ってまず歯を治さなければならない、さもないと痛みの為に海辺で楽しむことはできない」と断るだろう。

 だから、海辺で楽しみたいのなら問題を全て取り除きなさい。どこに行こうともこの決心はまるで岩のように硬い。

 「私は自由になる。私は今生で今年、今日、自由になるのだ」と。

 

 

Q:私は20歳の時オーストラリアの軍隊に選ばれ、一年間ベトナムで戦いました。今、二十五年たってもその悪夢が消えず神経をダメにします。人生は生きる価値がないと時々考えます。ここにいると私の本質は無限だという美しさを感じますが、どうか私を私の内なる家に連れ戻して下さい。
     

 

 なぜ戦うことを恐れるのかね? 全ての兵士は戦わねばならない。私もまた戦ったが、戦うかどうかは問題ではなかった。他国の兵隊の前にいると恐れがやって来る。

 あなたが言っている無限は誰かがあなたの胸にLMGを向けて、あなたは3-0-3を彼らに向ける時だ。その時が無限だ。誰が殺し屋で誰が殺されるのか誰も分からない。どちらであろうと恐れる必要はない。

 あなたの義務はあなたの国の為に戦うことであなたはそれをした。奴隷として生きるより自由の為に戦って死ぬ方がよい。

 あなたが言っているこの無限にどのようにして出会ったのかね? 無限というのは人も概念も対象も何も見えないことだ。
 
 自由とは人と概念と対象が存在しないところと言う意味だ。無限があなたの本質だ。恐れないことだ。


  「ここ」に美が、「ここ」に愛が、「ここ」に永遠が、
  なぜそれを恐れるのかね?
  「ここ」に平和と至福が。
  無限を恐れているので、誰もそれを味わったことがない。
  これがあなたの内なる家で
  全てが戻って行かねばならない所だ。

  手遅れになる前に自由になりなさい。
  さもないと後で後悔する。
  「今」がその時だ。
  一瞬、あなたの為に、この無限の為に使いなさい。
  一瞬、フィンガースナップ、一秒、半秒、それで充分だ。
 

 どうしてあなたがこの一瞬に手に入れなかったのかと尋ねるべきだ。誰もこの半秒を使ったことがないからだ。人々は100年間生きるとしても、この一瞬を自分の為に使うことができない。彼らは他の何かを探し求めている。一緒にいたい人や物が欲しい。

 今、あなたはここでやりなさい!私が言っているこの一秒間に何も考えないことだ。フィンガースナップの瞬間、何も考えないこと。努力しないこと。何が起こるか言ってごらん。

 私は考えないようにと言っているのだ! あなたはまだ考えている。何も考えない時は顔つきが変わるものだ。今、もう一度試しなさい。本当は試すことさえ必要ない。試すというのは、聞いたり読んだりしたことを試すということだから。試すことはいつも過去の何かについてであり、今この現在にあるものについて試すことはできない。

 現在は考えることを必要としない。考えない時、達成する価値のあるすべてを達成したと理解する。その時たとえ死に直面しても後悔することはない! 死がやって来ると死があなたを恐れるだろう。(くすくす笑い)やりなさい、他に何か尋ねることがあるかね?
     


 

Q:試さないという意味が分かりません。
     

 試すこと、試みることは過去に属している。過去に属さないものは何か言ってごらん。誰かから聞いたことがないものを試したことがあるかね?
それは過去からやって来る。成し遂げたことは過去に属する。

 しかし、私が言っている「これ」は時間ではないので、過去ではない。過去、未来、現在は存在しない。だから試すことなしに、努力することなしに、それを得ることができる。今、試すという意味が分かったかね
     


 

Q:はい、分かりました!
     

 試みないとあなたは静かで、試みるとトラブルだ。

 

 

Q:私達が最初にエゴに気づき始めるのはいつ頃ですか? 「私」が人生を支配し始めるのはいつ頃ですか?
     

 これは誰も尋ねたことがない良い質問だ。「いつエゴが始まるのか? どのようにして、なぜエゴが始まるのか?」良い質問だ。

 私が思うにはそれは両親と一緒に始まる。両親が関係性を教える、そうしてエゴが起こって来る、子供は兄弟姉妹や親戚に属する。そうして牧師が洗礼を与えて、あなたはキリスト教徒、仏教徒、又はモスリム教徒になる。

 そうして牧師は他の人々は地獄に行きあなたは天国に行くと説く為に、エゴは他の人よりも優れていると考え始める。宗教エゴ、国家エゴ、自分の国は他の国より優れている。アメリカ人、彼らは最も優れていると考えている。経済力と戦力に関してはこれは本当だが、これはエゴを強化する。

 「私はドイツ人」「私はアメリカ人」「私はインド人」というエゴは取り除くのに難しい障害だ。しかし、これを取り除いたら共有の地球に属することになる。アジア、アフリカ、アメリカ、太陽は同じように振り注ぐ。同じ太陽、月、空、母なる大地、しかし私達は全ての人に属しているこの共有物を受け入れようとはしない。

 もし私達の関係が知恵に基づいているなら、私達は一つの地球、一つの世界、一つの宇宙に属していると分かるはずだ。その時、環境の一体性を理解して内なる平和に静かに座っていられる。

 近隣がいつ攻撃して来るかと恐れていると静かに座ることはできない。平和に満ちていられる為にはエゴを取り除かねばならない。恐れを取り除かねばならない。
     


 

Q:私の娘は2歳になり始めましたが、この頃からエゴが発達し自然な意識の状態から離れて行くのですか?
     

 自然な意識の状態を子供や親、誰からも取り除くことはできない。むしろ全てを含んでいる。真我は全てを含んでいて真我は決して離れて行くことはない。
     


 

Q:時々、彼女は堅固で要求が激しいのですが…
     

 あなたはその「時々」に同一化している。なぜ、時間を時間として見ないのかね? 時々はあなたの時間だと考えて、あなたの時間に子供の為に何かをしなければならないと考えている。

 あなたはまだ広い観点から物を見ることができない。だから子供は何かが必要で、あなたを通してただその必要を満たしているにすぎないと考えなさい。

 そうすると「時々」は問題ではなくなる。もし子供がそこにいるならキスしてあげなさい、彼女が食物を必要とするなら食物を与えなさい。これが賢い生活の知恵だ。

 彼女が自然な意識の状態から離れていくのではないかと恐れているが、真理は決して誰からも去って行くことはない。真理から我々はやってきて、真理へと戻って行き、真理の中で生きるのだ。
     


 

Q:どのようにして彼女を導いて行くことができますか?
     

 あなた自身に絶対的な信念を持つことだ。全ての活動は内なる「それ」によってなされると。

 

 

Q:座ることも歩くこともできない位ひどく背骨を痛めました。3年間苦痛に耐えてきましたが、時々私はこれで死ぬのではないかと思う時がありました。どのようにして肉体との同一化から抜け出すことが出来すか?
     

 あなたが病気のときは肉体との同一化から抜け出すことはできない。だから良くなって、身体の問題を解決してから他のことについて話しなさい。

 人が病気にかかっているときはいつも苦痛と同一化しているものだ。彼のマインドはいつも苦痛の上にある。どうして真我を自由にすることができるかね? それは不可能だ。あなたの肉体が強丈で、マインドが平静でない限りそれは全く不可能だ。

 肉体とマインド、両方が健康なとき真理の実現について話すことができる。さもないとそれは不可能だ。あなたの肉体をまず面倒みなさい。

 

 

Q:結婚していても悟りを得ることが出来ますか?
     

 人は結婚すべきだと私は思うし、アーリア文化もそれに同意している。もし、結婚しないなら「その人」はあなたのマインドの中にいて、結婚したら「その人」はあなたの側にいる。全ての人にとってセックスは大変重要だ。だから結婚生活は必要だ。セックスの欠如が悟りを助けるのなら、去勢者が最初に自由になったはずだ。

 あなたの人生で結婚は最も重要な要因だ。*ブラフマチャリアは一般に独身・禁欲を意味しているようだが、子供をもうける為に妻や夫と一緒にいるという意味でもある。

 あなたの真我といるのが真のブラフマチャリアだ。

 

 

次ページ(Part3)に続く

 

 

 

 

 

用語解説

 

*1ブラフマチャリア ① 文字通りの意味はブラーマンとして存在する。 ② 単に独身生活を意味する。

 

 

 

 

 

←目次に戻る

 

前の記事に戻る→ ←次の記事に進む